余命1年を仮定した生き方を考える

患者の会で主治医が「この病気は治療法が発達して10年生存率が6〜7割になってきた。予後が厳しい病気だから難病というわけではなく、一生涯長く経過を見ていかなくてはならないという意味で難病なのです」と発言されたので、まだまだ余命があると安心していました。
しかし最近、心臓疾患の気配があり主治医に報告したところ「この病気は、心臓に影響を与える場合が一番怖い。心臓の状態が悪化した場合でも、4分の3の人は大丈夫だが、4分の1は、家族がある日朝起きてみたらもう冷たくなっていたという事態になる恐れはありますよ」と言われました。

こうした状況を踏まえて余命1年と仮定して、やるべきこととやりたいことの優先順位を決めることが大切と感じ、リストを作ってにらめっこを始めようと思いました。まず浮かんだ考えは、365日をワクワクする日々にしたいということでした。

インターネットで「ワクワク」を検索したところ「ソース―あなたの人生の源はワクワクすることにある(VOICE刊)」という本に目がとまりました。早速取り寄せて読み始めました。今までの小生の常識と異なる内容があって目の鱗が取れました。共感した部分を列挙します。

●優先順位のウソ
経営学や一般の成功哲学ではものごとに優先順位をつけるように教えますが、人間の基本的なニーズである自己実現という面ではマイナスの効果しかありません。自分のニーズ、プロジェクト、欲望やワクワクに順番をつけろというわけです。

・しかし、こういうやり方をするとリストの最後まで実行する時間はまずありません。ところがたいていの場合、リストの最後にあるのが一番楽しいことであり、こころを満たしてくれることなのです。

・ひとつのことをいつも優先していると、かならず人生のバランスがくずれてきます。ものごとに優先順位をつける考え方は、人間がさまざまな要素からなる複合的な存在であることを忘れて、生産工場の機械の部品のようにとらえます。

・いつも優先順位にしたがって生きていると、心の喜びがわかない人間になり、人生の重要な決断をする際に多面的に考える能力を失います。人生設計を考えるときにはあらゆる要素を同時に考慮する必要があります。

●同時実行が生む相乗効果
・自分のワクワクはすべて実行しましょう。たとえ一部でもおろそかにしたり、無視したりすると、その人らしさの一部が欠けてしまい、全体の
美しさや輝きが損なわれてしまうのです。同時実行を実践していくにつれて、こころは満たされていき、その結果気力や体力がますます増進します。

●同じ量の情熱を傾けよ
・同じだけの情熱とは同じだけの時間やお金や体力を使うことではありません。どんな活動をするにせよその時間はそのことだけに情熱を傾けましょう。

●小さな一歩を踏み出そう
・達成までに何年もかかるような願望をいちどにいくつも実行しようとすると、考えるだけで疲れてしまい実行不可能とあきらめてしまうかもしれません。小さな行動は何かと考え実行してみるのです。今のあなたが楽に実行できる範囲の行動に限ります。「同時実行」や「同じだけの情熱」ということにプレシャーを感じ、ストレスが生まれるようでは、その一歩はあなたに大きすぎるのです。

●目標を立てるな
・目標を立てる代わりに目指す方向だけを決めておくほうが、長期的には多くを成し遂げられるのです。方向には上限も下限もなく、目標が達成できなかったときの敗北感も味わうこともプレッシャーもありません。幅広い体験を受け入れる柔軟性をもっています。

●ワクワク人生を生み出す四つの条件
1)人生のあらゆる面において自分が持つワクワクの「すべて」を見つける。
2)発見したワクワクは、一つ残らず「すべて」現在の生活に生かす。
3)自分がワクワクすることを自分自身や人のために無条件に使う。人のために使うときには、なるべく人知れずこっそりと使う。
4)1から3までを実行しながら、バランスの取れた生活を目指す。

・自分のワクワクを人と分かち合った結果、まわりの人たちや見知らぬ人たちの生活が改善されたり喜んでもらったりすると、私たちは深い満足感や生き甲斐を感じます。喜びの質が高まります。人生が活性化するスピードに拍車がかかります。

・熱いワクワクを支える静かなワクワクを忘れないでほしい。静かなワクワクとは、バランスの取れた生活であり、くつろぐことのできる家庭や
楽しい人間関係、心身の健康と休養、健全な財政、社会との意義ある関わりなどです。こうした環境が整えられていれば、好きなことに安心して没頭できます。

●バランスをとるために必要な人生の十分野
・「自分」「家族」「友人知人」「学ぶこと」。「社会との関わり・社会貢献」。「社交」。「レジャー」。「心の健康」。「体の健康」。「財政」。

・十分野には仕事や職業が意図的に除いてあります。私たちの文化では仕事にあまりにも大きな比重が置かれています。自分らしく生きているうちに巡り合った職業はその人の天職といえるでしょう。

・私の考える人生は、人間がワクワクすることをしていると、結果的に他の人や社会に貢献してしまうという考えです。無理することはありません。少しずつ進んでいけばよいのです。

●本書の著者マイク・マクナマスは多発性骨髄腫で1999年3月に亡くなっています。



<所感>
・読み終わって、経営コンサルタント時代に学んださまざまな原則は、自己実現の人生設計に使ってはいけないという感慨を抱きました。またマイク・マクナスの考え方は、自利利他円満という大乗仏教の精神に通ずるものがあると感じました。これから1年マイク・マクナマスの考え方を参考にして生き方を進めるつもりです。



庭に咲くジャーマンアイリス