久しぶりの仏教講座

冬の間は感染症や肺炎を恐れて欠席がちだった岡野守也先生の仏教講座が5月に始まりましたので、都心の神田へひさしぶりに出かけました。
大乗仏教でもっとも理論的な「唯識」についてひととおり学んだものの、単なる知識に終わりがちなので、改めての学び再開です。

◇凡夫のこころ

●五感

・眼(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)、身(触覚)

●意識

・随煩悩と根本煩悩

・随煩悩とは日々起こっている煩悩(いびつな欲望)です。

・随煩悩の内容・・・怒り、恨み、ごまかし、悩み悩ませること、嫉み、もの惜しみ、だますこと、へつらい、傷つけること、おごり、内的無反省、外的無反省、のぼせ、落ち込み、真心のなさ、怠り、いいかげんさ、もの忘れ、気が散っていること、正しくない知識。

・随煩悩は自分・自分にこだわることからでてきます。

・意識上の根本煩悩とは、人間のこころ(意識)の根っこに存在している煩悩(いびつな欲望)です。

・意識上の根本煩悩とは貪り、憤り、愚かさ、高ぶり、疑い、誤った見方。

●マナ識(無意識)

・マナ識は意思でコントロールできない深層心理で=エゴイズムの根源であり、4つのパターンで存在しています。

・マナ識の4つのパターン・・・縁起・無我(宇宙には実体的な事物は存在しないこと)、無常について無知である「我痴」、実体的な自我の存在を思い込む「我見」、実体的な自分を最終的な拠り所にする「我慢」、自分と自分の所有物へ過剰に愛着・執着する「我愛」

参考:四法印諸行無常諸法無我涅槃寂静一切皆苦

●アーラヤ識

・意識やマナ識を蔵のように蓄えておく深層の心です。アーラヤ識は中性で善の心も悪の心も蓄えます。人生で体験したことのすべてが蓄えられます。

・マナ識は意識ではコントロール出来ませんが、アーラヤ識に蓄えられた善の種が芽を吹くと浄化されます。マナ識が浄化されると意識も浄化され、煩悩が段々と消えることになります。

●人生四苦八苦から解脱するには

・四苦八苦とは生、病、老、死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦の八項目であり、善と六波羅密を実践すれば、五つのステップ(資糧位、加行位、通達位、修習位、究境位)を踏んで解脱することができる。

●善なる心の働き

・真心、内的反省、対他的反省、むさぼらないこと、怒らないこと、愚かでないこと、努力、さわやかさ(軽安)、怠けないこと、平静さ(行捨)、傷つけないこと。

六波羅

・布施(財施・法施・無畏施)、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧


<所感>

・人生八十年を超え、辛いこと悲しいことはありましたが、有り難いことにご縁のあった方々のおかげで、人生四苦八苦と強烈には感じておりません。生きてきてよかったと思っています。

・人生の終盤を軽安にすごすため、穏やかな修行(行捨)を続けたいと思っています。

・ただし、孫たちが生きる日本社会の未来については甚だ心配で、せめて事象に関する学習内容を次代のためにまとめ、記録しておきたいと願っています。