小泉元首相の脱原発論

小泉純一郎元首相が11月12日に日本記者クラブで行った記者会見の発言内容は、テレビ・新聞・インターネットで大きくとりあげられています。
民放テレビでクローズアップされた小泉氏の目の輝きをみて、久しぶりに「集団のリーダーらしい顔つきをした人間にお目にかかったなー」と思いました。

以下、発言のなかで特に印象に残った部分をピックアップしておきます。

●政治の役割について

原発問題は広くて大きくて深い問題だ。国会議員だけで代案を出そうとしてもなかなか(結論が)でる問題ではない。政治で一番大事なことは方針を示すこと。原発ゼロという方針を政治が出せば、専門家や官僚は必ずいい案を作ってくれる。

●核廃棄物の処分場選定について

原発必要論者は「(処分場選定の)めどを付けるのが政治の責任だ」と言う。付けられると思うほうが楽観的で無責任だ。福島第一原発事故の前にみつけることのできなかったものを、事故後に見つけ出せるというのが必要論者の主張だ。

・この前フィンランドオンカロに行ってきた。地下400メートルの岩盤をくりぬいた場所にある。縦横2キロ四方の広場に、円筒形の筒に入った核のゴミを埋める。容量は原発2基分だそうだ。オンカロもまだ最終審査が残っている。なぜかというと、岩盤から水が漏れている。10万年もつか調べなければならない。 (核廃棄物処理場を選定することの大変さが実感されるisoroku)。

・必要論者たちは早く選定し建設しなさいと言っている(この表現は必要論者の発言は無責任きわまりないという意味に理解できるisoroku)。

●総理のもつ大きな権力の使い方について

安倍晋三総理が今、原発ゼロを決断するのに、こんなに恵まれた環境はない。野党は全部、原発ゼロに賛成。反対は自民だけではないか。本音を探れば、自民議員も賛否は半々だと思っいる。

・国民から与えられた権力を望ましい、あるべき姿に向かって使うことができる。国家の目標としてほとんどの国民が協力できる体制ができる。全政党が賛成し、提案だって野党からいろいろでてくる。識者からいろんな智慧がでてくる。できるんだ。政治の出番だ。夢のある事業だ。

・結局は首相の判断力、洞察力の問題だ。うかうかしていると、米国が先を越して脱原発と言い出す。


<所感>

・「総理のもつ大きな権力を多くの国民が協力できる夢のある事業に使ってほしい」という発想に深く共感しました。(小生は安倍首相が原発の輸出セールスに精出す姿をみて心から情けなく思っていました)。

原発の問題はイデオロギーに関係なく、日本国民全体の存続に関わる問題であり、真に国民的なリーダーの存在が必要だと思います。

・集団利害の調整機能にとどまらず、夢のある事業達成に貢献する政治というものがありうるのだと感じて、今日は気分が晴れております。