安倍首相のスピーチ

安倍晋三首相はオリンピック総会でのスピーチで、原発汚染水問題について重要な発言を行い、東京オリンピック実現に向け決定的な役割を演じました。

・フクシマについて、お案じの向きには私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。
NHK Newswebより)。

安倍総理大臣はこの後の質疑でさらに詳しい説明を求められたのに対し、「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメールの範囲内で完全にブロックされている。福島の近海で行っているモニタリングの数値は最大でもWHO=世界保健機関の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ。また、わが国の食品や水の安全基準は世界で最も厳しいが、被ばく量は日本のどの地域でもその100分の1だ。健康問題については今までも現在も将来も全く問題ない」と述べました。
NHKニュース「首相 汚染水問題「政府の責任で対策」」より

IOC評価委員会のクレイグ・リーディー委員長は「確実性は重要なファクターだった」と話した。同委員長は、安倍晋三首相が招致プレゼンテーションで、福島第1原発で続いている問題に対し対策を講じている点を評価。「首相は大きな問題に対処している」と述べた。
(ウオールストリートジャーナル9月8日号)。

・東京は、安倍首相がカリスマ的な嘆願を国際オリンピック委員会(IOC)に行った後、実施された投票で接戦だったイスタンブールを破り、2020年夏季五輪の開催地の地位を獲得した。国家指導者のなめらかな演説は、IOCが懸念する福島原発問題の不安を解消するために行われた。日本は60対36でイスタンブールを大差で勝利したことから、演説はその目的にぴったりと合っていたようだ。
(ロイター通信9月8日号)

<所感>

・日本人として東京オリンピックが実現したことはたいへん嬉しいことです。関係者の努力に感謝します。

安倍晋三首相が原発汚染水問題で「状況はコントロールされています。東京にはいかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません」と断言したことは、大変重い国際的公約になったと思います。

・後手後手になってモグラ叩きの状態から、ようやく政府が前面に出て抜本策と称する対策への資金や人の応援を決めました。東電も副社長が現地で対策の指揮を執るようになり資金や人の配置を増強しました。ようやく一歩前進したばかりの状況だと認識している小生からすると、ここまでキッパリと断言して大丈夫かと不安になります。取りこぼしがあれば、日本国の国際的信用は失墜します。

・もっとも、退路のない発言をした以上、政府は全力を挙げて対策を強化すると思われるのでプラスの要因ではあると思います。

・ただし神国日本は勝つとの精神主義で大敗した戦中派の端くれとしては、今の対策水準で果たして十分なのか疑念を抱いております。対策充実のため冷厳にそして画期的に内容を再検討すべきだと思います。

・日本には「嘘から出たまこと」ということわざがあります。そうなりますよう心からお祈りします。