福島第一原発汚染水問題 情報収集(4)

読んだ情報のうち特に印象に残った部分だけを抜き書き記録しておきます。

●8月9日朝日新聞社説「汚染水対策ー東電処理策の見直しを」

・あらゆる知恵とできる限りの技術を投入し、事態の深刻化を食い止める必要がある。それには、現場で把握された情報が関係者の間で速やかに共有される体制が必要だ。政府は実際の作業も東電に任せず状況を常に監視・把握し、関係機関や地元自治体などと連絡を密にしながら、必要な決断が下せる仕組みを構築しなければならない。

・もう一つ、早急に取り組むべきは、東電の経営再建計画の抜本的見直しである。事故処理、被災者への賠償・生活支援、除染、今後の廃炉にかかる費用をすべて東電に負担させる現在の枠組みは、とっくに行き詰まっている。

・東電は、現行の経営再建計画に沿って、柏崎刈羽原発新潟県)の再稼働まで申請しようとしている。福島の現状を考えれば論外だ。

・東電の責任は決して軽減されるべきではないが、能力をはるかに超えた負担を放任しておけば、かえって被災地の再建や首都圏の電力供給に支障が出かねない。

・現行計画のどこに無理があるのか。今後どのような費用がどれくらいかかるのかり、だれがどう負担すべきか。現実を直視し、情報を公開しながら改めて議論しなおすときだ。

いづれにせよ税金の追加投入は避けあれないだろう。そうである以上、東電の破綻処理という議論の原点に立ち返り、貸手である金融機関の責任などを問う必要がある。

・あらためて、原発事故が国民生活に与える負担の大きさを思う。その厳然たる事実を踏まえれば、安倍政権が対処すべきことは明らかだ。原発推進の姿勢を改め、原発を減らしていく道筋をはっきり示すことである。


●8月9日北海道新聞社説「汚染水対策 最悪を想定して備えを」

・汚染水対策は事故収束に欠かせないが、問題が起きるたびに公費を逐次投入するのは許されない。実質国有化された東電の再建計画は事実上破綻している。

・汚染水処理を含む廃炉費用を利益から捻出しようにも黒字化のめどは立たない。賠償金と除染費用は、国が設定した資金貸出枠の5兆円を大幅に上回るのは確実だ。

・政府は現実を直視し、東電の法的整理も含め、費用負担の枠組みを抜本的に見直すべきだ。新たに税金をつぎ込む以上、株主や金融機関の責任を不問に付したままでは国民の理解は得られまい。


毎日新聞8月9日社説「国の主導で対策を急げ」
・(凍土遮蔽壁)これほど大規模な工事は前例がない。整備費も400億円程度に上がる見込みだ。政府や原子力規制委員会は、実施体制をきちんと監視する必要がある。順調に工事が進んでも運用開始は2015年の予定だ。

・このため敷地海側での汚染水の汲み上げや地盤改良工事、敷地山側に井戸を掘って流入前の地下水を海に流す「地下水バイパス」などが緊急対策として実施、あるいは計画されている。地下水バイパスはまだ地元漁協の了解を得られていない。最終的には政府による地元への丁寧な説明が必要ではないか。

・福島第1原発廃炉作業は30〜40年かかるとされる。汚染水問題を解決しない限り、廃炉も進まない。政府や規制委は今後も廃炉作業の当事者として、積極的に対策に取り組んでもらいたい。


<所感>

・東電が国民の信頼を失い、緊急対策ですら政府が前面に出なければ推進できない状況であり、いわんや抜本対策については監視ばかりか実施体制にも関与しなければならなくなると予想されます。

・そうなれば東電の再建計画の見直し問題に取り組まざるを得なくなります。また放射能物質の海への流出に対する国際的非難が高まれば、エネルギー政策・原発政策の見直しも課題に上がることになります。汚染水問題は安倍政権にとって想定以上に重い課題になると思われます。