福島第一原発汚染水問題 情報収集

表題について情報サーフィンを行いました。印象に残った情報を記録しておきます。

●福島第1原発:汚染水流出 海に40兆ベクレル 規制委「地下水くみ上げを」(毎日新聞8月3日朝刊)

東京電力福島第1原発から放射性汚染水が海洋流出している問題で、原子力規制委員会は2日、対策を議論する作業部会の初会合を開いた。規制委の更田(ふけた)豊志委員は「(地中に遮水壁を築いて汚染水の流出をせき止める)今の対策では止められないという認識で対応すべきだ。地下水のくみ上げを始めるべきだ」と指示した。

 東電は、護岸の地中を水あめ状の水ガラスで固めて遮水壁を造る地盤改良工事をしているが、地表から浅い部分は技術的に壁を造ることができない。壁にせき止められて地下水位は上昇しており、データ上は既に壁の上部を越えているが、東電は「土地の傾斜を把握できていないので現状も流出があるか不明」とした。 これに対し、更田委員は「傾斜次第では、地下水は止まらずに海に流れ出ている」と指摘した。

 東電は、事故後に高濃度汚染水が海へ流出し、対策を講じた2011年5月から今年7月までの2年2カ月間で、トリチウム三重水素)が最大で約40兆ベクレル海へ流出したとの試算を明らかにした。トリチウムは原子炉建屋周辺を流れる地下水に混じって海へ流出すると仮定。採取した護岸付近の地下水の放射性物質濃度などを基に試算した。一方、海水のデータを基に計算すると約20兆ベクレルだった。

●東電地下水くみ上週内にも開始(毎日新聞8月6日朝刊)
・東電は5日、週内にも護岸付近で地下水のくみ上げを始めると発表した。井戸を掘って1日100トンをくみ上げる計画だが、汚染水や地下水を保管する地上タンクはすでに飽和状態に近く、保管先は2号棟のタービン建屋などを中心に検討している。

・東電は汚染水の流出防止策として護岸付近の土壌を水ガラスで固めて地中に遮水壁を造る工事をしているが、地表から約1.8メートルまでの部分は技術的に壁をつくれない。遮水壁にせきとめられて地下水位が約1メートル上昇し、計算上は既に壁を乗り越えているという。 規制委は「今の対策では流出を止められないという認識で対応すべきだ」とし、くみ上げを指示した。

●政府が前面に出て説明を(8月6日産経新聞主張)
・政府はいつまで傍観を続けるつもりなのか。量は運転時の放出基準内だが、敷地から海への漏れが確認される事態となっている。早急に漏出防止と汚染水減量に、実効的な手を打つべきだ。

・大破した原子炉の安定維持は、水との絶えざる闘いだ。1〜4号機のタービン建屋の地階などには大量の汚染水がたまっている。炉心に注ぐ水は濾過、循環させて再利用しているが、原発の山側から流れてくる地下水が建屋の地階で汚染水と混ざって総量を増加させている。流入する地下水量は1日平均400トンだ。

・東電は敷地内にタンク群を設置して回収した汚染水を貯蔵することで対応しているが、タンクの増設にも限度がある。汚染水の増加を抑えるための抜本策が必要だ。

・その有力手段の一つとして期待できるのはが、地下水のくみ上げだ。建屋の手前に井戸を掘り、山側からの地下水が建屋に入って汚染水となる前にバイパスさせて海に流せば、汚染水の増加にブレーキがかかるはずである。

・東電の見積もりでは、1日あたりの流入量を300トンまで減らせそうだ。くみ上げ井戸は4月中に12本完成しているが、バイパス用には使われていない。汚染前の地下水であるにもかかわらず、漁業関係者から風評被害を懸念する声が上がったためだ。5月中旬のことだ。

・そうした足踏みをしているうちに今回、海への汚水流入が確認されるに至った。後手に回った感がある。…事故を起こした負い目のある東電のみの努力では、いくら誠意を尽くしても漁業関係者の同意は容易に得られるものではない。

・安定政権の地盤を確保した安倍晋三首相には、汚染水問題の解決に指導力を発揮してもらいたい。原子力規制委員会の動きも鈍い。処理で基準濃度以下となった汚染水の海洋放出は、第1原発の現実に照らして不可避である。国内外への説明に急いで取り組まなければ間に合わない。

福島第一原発の管理 政府に移行する時期か(8月2日付)
著者:クリストファー・ホブソン氏(国連大学サステイナビリティと平和研究所のリサーチ・アソシエイト)

http://ourworld.unu.edu/jp/time-to-take-over-daiichi/

論文の最後の2行から引用:原発の再稼働に進むのではなく、福島の警告を聞き入れ、まずはその安定化に集中するべきだろう。


<所感>

原発汚染水の問題は緊急性・重大性を帯びていますが、原発事故に伴う多くの問題は事故を起こした上に、その後の対応のまずさが重なって信用を失いかけている東電のみの努力では、いくら誠意を尽くしても関連する国民の協力を得られないと思われます。

産経新聞の主張が、汚染水増加を抑えるためには抜本策が必要であり、その有力な手段の一つとして地下水のくみ上げを取り上げて、説明について政府の介入の必要を主張していることには賛成です。

・抜本策の手段としては、工期に2年もかかるといわれる汚染水を完全包囲する施策を、次元の高い対応姿勢の導入でもっと短期間に完成させるといった手段も重要ではないかと思われます。

・そのほか識者が提案されるアイデアを虚心に受け止め、有効と思えばどしどし実行していただきたいです。


・まず汚染水の問題、次につづく様々な問題解決のためには、もはや政府が前面に出て説明するばかりでなく、福島第一原発の管理を政府に移行させる非常処置をとるべきではないかと思いますがいかがでしょうか。そして、オールジャパンでそうした政府の行動を支えるべきだと思います。^