入院中に感銘した新聞・雑誌、インターネット、読書の論述から

定期の治療入院を無事終えて帰宅しました。今回は入院中も体調が良く十分学ぶことができました。感銘した論述と所感を記録しておきます。

●好奇心が続く間は現役だ
田原総一郎(79歳)・・・日経BPnet 5月7日
・僕の理想の死に方はね、朝生の収録中に「田原が静かになったと思ったら死んでいた」というのが一番いい。現役のまま最期を迎えるのがいいですね。

<所感>
・老化と病気で旅行もできない身体に衰えましたものの精神はまだまだの実感ですが、好奇心が続く間は現役だという言葉に新鮮な刺激を受けました。「そうだ精神はまだ現役気分でいいんだ!」。


●自分の「しまい方」貫く
・吹野保(享年90歳)・・・毎日新聞5月10日
・肝臓がんが見つかってホスピスに入ったのが4月1日。4月24日に亡くなった。亡くなる2日前の写真が掲載されていたが、凛としたたたずまいでした。65歳で高級家具店経営からスパッと引退し、俳句が無上の趣味となり句会通いはは25年続いた。「俳句をして・・・本当に良かった。ありがとうと言って・・・この世から消えていきたい」「このまま・・・おもしろく、世の中しまっていけばいい。私の人生は・・・実に楽しいもんだった」と亡くなる2日前に言い切った。4月24日は娘にメールで無事を知らせ朝食を食べた後、すっと亡くなった。葬儀も法要も可能な限り簡素にさせた。そういう人生のしまい方を自分できちんと決めたのだ。

<所感>
・この2〜3年一歩間違えれば命を失う局面を幸運に恵まれて大きな苦痛もなく通過できたことに改めて感謝し、この世の味わいをしみじみと楽しむ心境になっているので、吹野さんのこの発言にこころから共感しました。


●老年期を満ち足りた心で送るためには人生後期にかけての教養が必要だ
森本哲郎(86歳)・・・「老いを生き抜く」NTT出版
・老年に対し抵抗しなければならない。肉体の養生ばかりでなく精神ならび知能の養生に深く意を用いなければならな(キケロ)。
・人生の悩みは技術的な処理によっては解決されない。人間的に生を充実させるために必要なのはひとりひとりの人格を支える教養なのである。(学ばざればすなわち老いて衰う・・近思禄)。
・教養とは「他から教えられ自ら養うこと」である。他から教えられるとは学ぶことである。(論語・・六十にして耳順。学びて思わざればくらく、思いて学ばざればあやうし)。

<所感>
・精神生活のほうは好奇心と向学心が相変わらず強いので、この論述には意を強くしました。
・どこで発見したか判らなくなりましたものの、読んだとき強く共感した次の論述が、今の私の生活指針です。「精神の成熟とは今まで見えないものが見えてくることである」。


●デジタル時代に必要な本のソムリエ
立花隆・・・文芸春秋6月号
・書物の集積がまた書物の集積を生む。デジタルの発展で、やがてアレキサンドリア図書館を誰でも持てる時代がくる。そのとき世の中に必要な職業に一つが本のソムリエになるだろう。
・有限の実人生の時間の中で次に何を読むべきかは誰にとっても永遠の悩みだ。

<所感>
・膨大な多品種高級ワイン分野で顧客にアドバイスするソムリエの役割を、本の世界に適用した言葉が新鮮でした。私は適用範囲をさらに拡大して「知のソムリエ」という言葉を発したい。
・いろいろな学問領域の基礎的な知識を土台に、社会に必要で自分の好奇心が向かう領域で専門化を深め、知のソムリエとしての役割を果たすことができれば、身体は老いぼれても精神はまさに生涯現役で行ける。