なかにし礼氏の生き様に感銘する

11月6日から8日の産経新聞に、4000曲の作詞家で直木賞作家である「なかにし礼氏」が、自らの食道がん克服の生き様を語った記事が掲載されました。読みながらそのこころの姿に深く感銘しました。

なかにし礼氏の境地には到底及びませんが、そうした生き方を模範にして過ごしていきたいものだと思いました。

●どの医者も決まって「手術しましょう手術をしましょう」という。若いころ心筋梗塞を患っていて、全身麻酔による長時間手術はどうしても避けたかった。手術しないで直す、その最善の方法を探すためなら、世界の果てまで行こうと覚悟を決めたのです。陽子線治療は腫瘍にピンポイントで照射し、ほかの臓器や脊髄への負担が少ないという。それからですね。希望のようなものが芽生えてきたのは。先行きがみえるかどうかで精神状態も変わってきます。

●病気になってからの闘い方次第で、これまでの73年間の人生という物語が、生きるか死ぬかも決まる。73年間は「助走」であり、これからの闘い方が大事という意識になった。今はがんになって、たいへんいい勉強をしたと思っているんですよ。
<所感>
・この73年間の人生を助走と位置づける「ものすごい発言」に圧倒されました!マネしたいですが、マネできませんね。

●病気と闘うには、いいエネルギーを日々身体に注入して僕自身の精神を高める必要がある。そのためには娯楽とか気休めではなくて、毎日のように知的な興奮を覚えることが大事だと思った。

●それで人類の歴史のなかで傑作とされる作品を読み直してみよう、と。病気への不安はもちろんあった。でも自分の身体にいい栄養剤を送ろうとするのは、すごく積極的なわけ。だから書いてある一言一言がピンピン胸に響いてくる。

●結局、病気や戦争などで死と隣合わせになったとき、人間はとんでもない非日常の時間に置かれているわけ。そのときは別の緊張が必要になるんですよ。今抱えている緊張を忘れさせて、しかも何かを学ばせてくれる別の緊張がね。そうなるとエンターテインメントじゃあとても満足できないよ。もっとガツーンと強く来てくれないと。

●次に書くなら、厳しい状況に置かれた人間が共感し勇気づけられ、救われるものでなければね。どう死ねば、その死に意味が生まれるのだろうか?そんなことがテーマになると思います。


<所感>
・顧みれば今までに我が家の防空壕のすぐそばにB29の落とした焼夷弾の傘が落ちてきたり、とんでもない事故に直面しても怪我もなく過ごせたり、死に至るかもしれない病に罹っても名医に出会えて生き延びられたりして、なにか神仏に、お前はもう少しこの世に生きていなさいと言われているように感じます。

・残された命を意味あらしめるために、なかにし礼氏の爪の垢でも煎じて、意味のある生き方を重ねていきたいとあらためて思います。