スマトラ島沖М8.6の新聞記事に触発されて想い・学んだこと

今日の産経新聞一面に「スマトラ島沖М8.6」という記事が大きく掲載されていました。スマトラ島沖は、2004年12月にМ9.1の大地震と巨大津波が発生しています。解説時事では、都司嘉宣・建築研究所特別客員研究員の「広い意味で04年の余震とみられる。東日本でも10年単位で誘発地震に注意が必要だ」との話が載せられています。

●これらの記事を読んで、次のようなことを想い浮かべました。

スマトラ島沖大地震から7年後に東日本大地震が発生しました。地球の活動からみれば連動しているのかもしれません。スマトラ島沖で誘発大地震が起きたのであれば、東日本でも数年後に誘発大地震が発生する確率が高いかもしれないと想定されます。

福島第一原発は、いまの東電や政府の動きからみる限り、数年後でもおそらく現状から本質的な対策が実現できているとは思えません。大津波を防ぐ本格的な防波堤の建設、使用済み燃料保管の4号棟の本格的修復や燃料保存状態の改善、1号棟〜3号棟の廃炉への段取りなど、重大な課題を数年間で解決できる体制が構築されていないのは明らかです。

<所感>
・数年後あるいは1年後に、万一M8〜M9級の大地震が東日本に発生した時には、使用済み燃料の冷却水が消滅して放射能が拡散し、首都圏は小説ではなく実話として終わりになるかもしれません。

・ある評論家はこうした言説を述べる学者に対し「大変屋のたわごと」といって嘲笑します。どちらがたわごとなのかは、歴史が軍配を上げることになりますが、危機管理の視点で考えるときの原則は、確率が小さくても影響の巨大な事件の場合は、発生に備える計画と行動が必要であり、万一の備えを唱える学者の意見を大変屋のたわごととして無視するような態度は、まともなリーダーとして認めるわけにはいきません。


●あらためて新聞記事から学んだこと

毎日新聞4月7日記事より関西電力大飯原発再稼働の新基準のポイント引用すると次のとおりです。

(1)地震津波による全電源喪失という事象の進展を防止するための安全対策
(2)「福島第1原発を襲ったような地震津波が来襲しても、燃料損傷に至らないこと」を国が確認
(3)30項目の安全対策などについて、更なる安全性・信頼性向上のための対策の着実な実施計画が明らかにされていること

(1)は、経済産業省原子力安全・保安院が福島第1原発事故を受けて電力会社に指示した緊急安全対策が該当するとみられる。中川委員長も「大飯原発では大体、クリアしている」と評価。
(2)は、ストレステスト1次評価でほぼ実施済みと政府はみている。
(3)は、保安院が3月末にまとめた計30項目の安全対策を着実に実施できるかがポイントとなる。
 
・30項目には実現に時間がかかる対策も含まれているが、安全基準では「実施計画が事業者により明らかにされていること」とし、再稼働前の実施は要求していない。

・時間がかかる対策の工程表が提出されたが、関電は「免震事務棟の完成を1年早める。山を切り崩して敷地を確保する難工事だが、なんとか前倒しできると判断した(幹部)。国内で例のないフィルター付きベント装置も2015年度の設置を明記し、前向きな姿勢を強調する。


<所感>
・こうした時間のかかる対策が3年後になるのであれば、もし1年後2年後に大地震が起きたらどうするのか?の対応策も同時に提示されなければいけないと思います。原発事故を防止できなかった保安院や安全委員会のメンバーが立案した計画を、そのまま使用している今の政府には相変わらずの安全神話がまだ消えていないようです。これでは、利権に取り込まれた人以外の普通の地元の人々の理解を得られるとは思えません。こうした政府の姿勢では一般国民の不安も解消しません。