下り坂人生と下り坂社会に関する情報収集

上野千鶴子著「男おひとりさま道」より>

●下り坂とは、昨日までもっていた能力や資源をしだいに失っていく過程である。昨日できたことが今日できなくなり、今日できたことが明日はできなくなる」「問題はこれまで、人生の上り坂のノウハウはあったが、下り坂のノウハウがなかったこと。下り坂のノウハウは、学校でも教えてくれなかった。そして上りよりは、下りのほうがノウハウもスキルもいる」。
 
●パワーゲームなら、手札を実際よりも強くみせることは相手を威嚇するうえでも必要だろう。しかし、『下り坂』を降りる知恵は、むしろ自分が持たないカードを他人から引き出すための『弱さの情報公開』にある」「だから、180度生き方を変えなければ、後半生をわたっていくのはむずかしい」。生き方は生活習慣。生活習慣はクセだから、むずかしいけど治せます。


島田裕巳小幡績著「下り坂社会を生きる」より>

●このところの世界は、人が溢れモノが溢れ、情報が溢れてきたんですね。それをうまく処理するやつが勝つ。そういう世界、拡大が急速に進み、時間が常に不足する時代、そう、唯一増えないのは時間だったのです。だから時間をかけるものは負けだったんです。今後はそうじゃない。
モノが増えず、人も増えなければ、相対的に時間が余ってくる。人生も長くなる。だから時間を長期的戦略でゆったり使ったやつが勝つ。時間をかけたやつが勝つ。今まではそんなに手間暇かけられなかった。それが成り立つ世界になるのではないでしょうか。


教育基本法資料室 中西輝政氏(京都大学教授)の意見陳述の概要(中央教育審議会第22回基本問題部会(平成15年1月22日)より>

●現在の日本は、近代の先進国が必然的にたどる歴史的衰退期にある。近代の経済先進国は、産業革命以後、短いスパンで衰退し、その後、ある時期から再生するという流れを繰り返してきた。近代的衰退の特徴としては、生活水準の向上と国際環境の安定から、人口構造の劣化(少子高齢化)が起きること、政治的合意形成による財政構造の転換が不可能となり、財政破綻が生じて行政サービスの低下を招くこと、政治指導力が衰弱し、政治が不安定となり、合意形成機能が失われること、精神的には、価値体系・モラルに世代間格差が生じ、指導者層のモラルや使命感が大衆に信頼されなくなること、などが挙げられる。


<所感>
・下り坂人生は能力が弱くなる人生であり、下り坂社会は時間があまる時代である。→弱くなってもゼロではない能力を時間をかけて磨くことによって、自利利他円満、自利利他両立の新しい価値を生み出せる生き方を歩めばいいのではないか。