病人になって感じた「こころ・からだ・医療システム」

思いもよらず病人になって3つの病院を転院したこの2年間、「こころとからだの関係」「からだと医療システムの関係」「こころと医療システムの関係」について、いろいろな体験をしました。思いだしながらその一端を列挙します。

●健康な時には「ころとからだの関係」では、こころのほうが優位を保っていると思われます。人生に肯定的で前向きのこころの態度は神経系統を安定させ、からだをさらに健全に維持します。
しかし、からだがやや重い病気にかかると、からだの調子の方が優位に立つようです。熱が出たり、薬の副作用がやや重い場合、こころを元気づけようとしても限界があります。こういう時は、しっかりした「医療システム」の効用が一番有効なんだと実感しました。

●例えば、薬の副作用で「しゃっくり」がなかなか止まらないで本当に困ったときに(医師からの副作用の説明にはほかの重要な項目の説明だけで「しゃっくり」はなかった)、看護師に訴えたらすぐに適合する薬を持ってきてくれ、飲んだらやがて止まりました。危難から救われた感じです。
先生から見ればそれほど重要な副作用ではないので、しゃっくりについては事前説明をしなかったようですが、看護師は経験上この薬の副作用と苦しさをよくしっており、しゃっくりには適合薬がありますよと教えてくれ、先生に申告して適合する薬を用意してくれた訳です。

●医療システムは、レベルの高い医師だけではなく看護師の質・量、定期的に患者の状態をチェックするシステム、看護師間の経験交流などのソフトなシステムと検査設備や病室設備などのハードなシステムから構成された総合的なシステムによって成り立っており、小生が体験した病院の中では日赤病院は一流のレベルだと実感しました。
別の病院では設備や看護師のレベルは高かったですが、輪番制で対応するシステムの医師の専門的レベルが高くなかったようで、結果的に誤診が続いた経験があります。医療システムにとっては、何と言っても医師の専門的レベルの高さが決定的なようです。普通の医師では想定もできなかった病名を疑い、その専門医を探して紹介していただいたH病院のK先生と、この病の治療の最先端で成果をあげられているS先生のお二人に出会えなかったら、小生の命は間もなく終わりになったと思います。おかげさまでまだこの世に生きることができるようです。

●すぐれた医療システムのおかげで難病に効く治療法が進むにつれて「こころ」がふたたび健全になります。ふたたびこころが優位になって、からだをコントロールできるようになってきました。例えば朝寝坊の悪習慣を断ち切ろうと朝は6時過ぎに起床し、体操の後近所の桜並木を散歩する習慣を定着させました。体力が回復するので、薬の副作用に対する抵抗力が強まっている感じがします。

●小生は健全な日本の東京の医療システムによって救われておりますが、地方や災害地の医療システムの崩壊のニュースを聞くと胸が痛みます。