人のつながり

日経ビジネスonlineの3月17日付記事を読んで、河合薫さんの「大震災、孤立して諦めかけた私を救った“声の力”」という記事に共感しました。その記事のさわりの一部を引用します。


・(水戸)駅前で丸井の社員の方たちに誘導されて、どんどんと人がいなくなっていった時。誰とも連絡がつかずに、今、自分がここにいることさえ、知らせらなかった時。そして、しんしんと寒さが身にしみてきた時。

 何と言うかうまく言えないのだけれど、瞬間的に自分の存在を忘れそうになってしまったのである。それは今まで一度も感じたことのない感情だった。

 でも、そこで「大丈夫か?」とか、「こっちへおいで」とか、声をかけてくださった人のおかげで、ハッと我に返った。しっかりしなきゃ、と、気持ちが戻ったのだ。

 水戸駅のホームで「移動しよう!」と声をかけてくださったおじいさん。震源は仙台だ、と声を上げて情報を提供してくれた20代男性。「どうした?」と声をかけてくれたバスの運転手さん。そして大渋滞の中、つくばまでタクシーを走らせ、ラジオをかけながら、崩壊する街を見ながら、声を出し続けてくれた運転手さん。

 そんな声をかけてもらうことで、人の声が耳に入ってくることで、孤独感から解放され、しっかりしなきゃと、何度も背中を押された。

 声をかけてもらうこと。声を出す人がいること。そのことのありがたさといったら、たまらなかったのである。

 人間って、自分の存在に気がついくれる他者がいて、初めて自分でいられるんじゃないのではないだろうか。神戸の市長さんが「救ってくれたのは、人、でした」と語っていたのは、人は人とのかかわりなしには、生きられない。いや、生きられないのではなくて、生きようってことを忘れてしまう存在なんじゃないだろうか、と思ったのである。

<所感>
・人は自分一人では生きていけない。他人や自然とつながってはじめて生きていられるのだ(仏教の教え=縁起の理法)を体験的に実感的に語られた素晴らしい記事でした。