キューブラー・ロス博士の名言(2)

「死ぬ瞬間と死後の生」中公文庫刊より、ロス博士の講演内容(生と死に関する名言)のポイントを紹介します。

●(言葉によらない象徴言語を習得したロス博士は)家庭を訪問すれば、家族や患者が自分の「やり残した仕事」は何なのか探り当てる手助けすることができます。それができれば、家族や患者はその仕事を片づけて先へすすみ、恐怖や不安のない、平安で冷静な死を迎える準備ができます。

●私どもはこんなふうにこどもたちが「やり残した仕事」をやりとげることを手伝うのです。・・・「やり残していた仕事」をついにやりとげることができた末期患者は、人生を100%生きることができて(安らかに死ねる心の準備ができる)のです。

●人間は五つの自然な感情を授かりました。恐怖、罪悪感、怒り、嫉妬心、愛です。この自然な感情を大事にし不自然な感情に変わってしまわないようにしなければなりません。
例えば自然な怒りを発散することを許されなかった子どもは、怒りと復讐心と憎しみ(ゆがんだ怒り)の固まりとなるでしょう。

●自然な感情を尊重せず不自然な感情に変形してしまうと、変形された不自然な感情は「やり残した仕事」という意識を後に引き起こします。

●人生は短いのですから自分がほんとうにやりたいことをやったらいいのです。(「やり残した仕事」を片づけることが大切です)。そんなことをしたら貧乏になるかもしれない。でもその代わり全身全霊で生きることができるのです。世を去るときが近づいたとき、自分の人生を祝福することができるでしょう。そうでないと何かある理由のために生きる、ほかのひとのご機嫌をとるために生きるはめになり、生きたことになりません。したがってこころよい死を迎えることはできないでしょう。

備考:( )内の叙述は小生が理解した視点で補足しました。

<所感>
・亡き次女は毎日毎日自分のやりたいことを精一杯やっていました。短い人生を精一杯100%生きて人生を卒業していきました。短いいのちというつらい人生でしたが、せめてもの救いがあります。
・小生は学生時代に父を失い、自分のやりたいことに蓋をして母や妹を養うためにサラリーマンの世界に入ってそのまま定年まで勤めてしまったため、「やり残した仕事」があるという言葉に目を見張りました。
定年後の第二第三の人生は、「やり残した仕事」に取り組んでおりますので、たぶん安らかに死ねるこころの準備が少しずつできていくように感じています。
母べえもやりたいことに熱中していますので、安らかに死ねるこころの準備が少しずつできていくように感じられます。