印象に残った政権交代をめぐる記事

インターネットで印象に残る記事を発見しました。
フィナンシャルタイムズ9月2日初出翻訳gooニュースの「前より賢くなった日本が何の幻想ももたずに投票した」(FIアジア編集長デビッド・ピリング(前東京支局長)の論述のポイントは次の通りです。

・8月30日まったく勝ち誇ることのない鳩山氏。それは全く誰も外で祝ったり喜んだりしない日本の雰囲気とよくマッチしていた。日本人にとって今回の選挙はダメな連中をおっぽりだすことが最大の目的だった。
・日本人は鳩山氏の民主党を支持したのではなく、計算高い賭に打って出て鳩山民主に投票したのだ。こう言う経済学教授の浜矩子氏は、日本人の判断を高く評価している。そして鳩山氏の勝利宣言は、控え目なもので有権者のことをフランス革命のように「市民」と呼んでいたと浜氏は指摘。
・日本では「市民」という言葉はほとんど使われず、「国民」や「社員」という呼び方が一般的なのだが、鳩山氏は「市民」という言葉を選んだ。「国に従う国民や会社に従うサラリーマンの中から、市民社会が生まれつつある」と浜氏は言う。
・5000万件もの年金記録を紛失しておきながら、本当に悪いと思っている様子を自民党はちゃんと見せなかった。この行政ミスに直面して日本人は政府は自分たちの老後の面倒など見られるわけがないと愕然とした。政府への信頼が大きく揺らいだのだ。
・今年初めに日比谷公園に(遣切りのを受けた人などの)ホームレスの人が一時的に避難してきた時、「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」と発言し、世論を憤慨させた。
・鳩山氏の民主党国民感情の変化にもっと上手に対応してきた。農家への直接支援、子供手当など民主党の提案が全て支持されているわけではない。巨額財政赤字の国でこんなにも支出増をする公約への疑いの目もある。労働市場をこれ以上規制して国際競争に勝てるかとの議論も活発に行われている。
民主党が約束している変化は、信ずることの出来る変化ではないかもしれない。しかし民主党は、ただ国民の声にじっと耳を傾けたというただそれだけで、大いに評価され、そして大量の票を獲得したのであった。


◇「国に従う国民や会社に従うサラリーマンの中から、市民社会が生まれつつあると浜氏は言う」というデビット・ピリング氏の指摘は、重要な視点だと思います。