国の理想のカタチ

9月6日の夜、NHK総合で「日本のこれから、激論、どうする税金」の後半で、「あなたの理想の国のカタチはスウェーデン型とアメリカ型のどちらに近いですか」という問いかけをしていました。結果はスウェーデン60%、アメリカ40%でした。
敗戦後長い間、アメリカ的生活様式・文化の影響を受けてきた日本国民(NHKの討論に参加した普通の人々ですが)の60%が、アメリカをモデルとする生き方から離脱しようとしていることに驚くとともに、日本の未来に希望を感じました。

スウェーデンの国づくりの歴史を知るのに役立つ書物から
そのほんの一部をご紹介します。

<小澤徳太郎著「スウェーデンに学ぶ持続可能な社会」朝日新聞社刊より>

●70年代のスウェーデンは「苦悩する生活大国」の姿を呈していたかもしれません。さらに1991年から93年にかけて、日本と同じ要因によるバブル崩壊を経験し、「経済のマイナス成長」「高失業率」「GDPの12%を超える財政赤字」「経常収支の大赤字」の四重苦に苦しみました。

●政府与党は、野党の協力のもとに綿密なプログラムを組み、強い福祉を訴え、「歳出の削減」と「増税」を実施した結果、「景気回復」と「財政再建」を同時に解決するとともに、四重苦を克服したのです。迅速で大胆な公的資金の投入により、不良債権問題は1年で解消し、投入された公的資金も1996年にはほぼ全額返済されました。

スウェーデンがとった不況対策は日本の不況対策とは異なり、スウェーデンの政策に詳しい専門家は「総需要の喚起を重視するケインズ政策」や「総供給量を重視する新古典派政策」ではなく、「資産重視政策」だったと評価しています。

スウェーデンは、米国と同じように、自己選択・自己決定・自己責任を基調とした自立性の高い国ですが、米国とは違って、公的な力(社会制度)によって国民を不安から解放するために、安心・安全・安定を求めて経済発展を進め、協力社会をつくりあげた国です。

スウェーデンは20世紀後半の40年間に人口の高齢化が最も進んだ国であり、時代の要求に合わなくなりつつあった「国民付加年金制度」を、21世紀にふさわしい年金制度に改めるために、保守四党と与党の社民党が協力し、20世紀の最後の10年間に十分時間をかけて全面的な見直しをすることにしました。