市場原理主義の問題点を学び始める

ご縁をいただいた安原先生のブログを拝見しはじめております。
目に止まった市場原理主義者に対する安原先生の告発を抜粋します。
自給率の異常な低水準を招いた責任を問う
 日本の食料自給率(カロリーベース)は、39%という先進国では異常な低水準で推移している。また穀物自給率(重量ベース)は27%にまで落ち込んでいる。
 その責任は市場メカニズムを万能視し、農畜産物の市場開放に積極的に動いた政治家、経済人、官僚、研究者ら一群の市場原理主義者にあるといえる。 
 日本は1995年にコメの部分開放へ政策転換した。
 当時のコメ開放に関する市場原理主義者(=市場開放論者)の言い分は以下のようであった。
*国内産のコメが海外に比べて割高である以上、安い外国産を輸入するのは合理的である。
*他の食糧についても大いに輸入し、その結果、食糧自給率が低下しても当然である。
*日本は工業製品の輸出によって巨額の貿易黒字を稼いで、海外の市場開放の恩恵を受けているのに、一部にせよ、自国の市場を閉鎖状態にして置くことはもはや通用しない。
 こういう考え方は、海外からの日本に対する農産物市場の自由化(=開放)要求を受け容れるのに都合のいい理屈であった。しかも輸入需要があるかぎり、海外からの食料供給は無限であろうということを暗に前提にしている。
しかしこの前提条件が最近の食料危機で崩壊してきた。食料輸出国では「自国分」の確保を最優先する動きが高まってきているからである。こういう事態は予測できたにもかかわらず、市場開放論者すなわち市場原理主義者は無視した。その責任は甚大だというべきである。
 私は「市場原理主義者よ、腹を切れ」と言いたい。奥田硯・前日本経団連会長が日経連会長、トヨタ自動車会長だった頃、「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」(『文藝春秋』1999年10月号)と論じた。その言い分にあやかったにすぎない。
 ただ市場原理主義者の責任を追及するだけで事足れり、とするわけにはゆかない。自給率を向上させ、食料危機を乗り越えるには何が求められるのか。必要不可欠な条件として「食料主権の確立」と「田園価値の再生」を掲げたい。