百田尚樹著「影法師」を読んで

永遠のゼロの作者百田尚樹氏の時代劇を読みました。やまさんのお勧めのお蔭でこの本を知りました。DVDを購入し何度も見直した藤沢修平の「蝉しぐれの」と同じ雰囲気だなと感じながら、その雰囲気に浸って一気に読みました。以下感想を記します。

・「永遠のゼロ」では、戦闘機乗りとして凄腕を持ち「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男が、最後に特攻に志願した物語に実に切ない気持ちで読み終わりましたが、影法師でも、厳しい封建制の掟の中で命を賭けて生きる男たちの生き様・・・主役の彦四郎、勘一の物語を読みながら、そうした生き方にこころを揺さぶられました。

・インターネット検索で読んだ多くの人の感想コメントを眺めましたが、下記のコメントに目がとまりました。この方は女性のようです。

・「それにしもて、百田さんの小説に登場する男って、脇役まで痺れる野郎ばかりですね。息子を守ろうとして上士に刀を抜いた勘一の父、家族皆殺しを覚悟で一揆の首謀者となった万作、彦四郎の真実を明かす証人として、物語の終盤に現れた居合の達人。皆、カッコよすぎだろ…」。

・百田氏が作品のなかで創りあげた「こうしたカッコいい男たち」の生き様は、現代の男たちにはほとんど見受けることができませんので取敢えずには一服の清涼剤になります。

・しかし、真面目に考えると、国やジャーナリズムや企業の指導的地位に立つ男たちが、保身第一の姿勢から脱却して、このような武士たちの精神の半分でも継承しなければ、日本の真の再生は不可能ではないかと思う昨今です。