現代自然科学による宇宙物語の中で創発という言葉に感銘する

最近、岡野先生の講座で現代自然科学のコスモロジー(宇宙観・世界観・価値観・人生観)を学んでおります。学生時代近代自然科学しか学んでこなかった小生にとって、目のうろこのとれる話です。

●宇宙進化の歴史を学んでいく中で、創発という言葉が何回も何回も出てきます。
●宇宙は最初は一つのエネルギーであり、大爆発から始まったというビッグバン理論は、いまや現代自然科学の定説です。
●エネルギー→ビッグバン(空間と物質の分化)→素粒子(電子・中性子・陽子)の創発→最初の原子(水素)の創発核融合→星の創発→→太陽系の創発→96個の原子をもった地球の創発→→水の創発→→光合成微生物創発→酸素の多い大気創発→微生物創発→→多細胞生物創発→→魚類創発→両生類創発→→哺乳類創発→→霊長類創発
●霊長類→直立歩行の人→前足が手になる→大脳を刺激→前葉頭発達→言語が使える→文化発生→思考と意識発生という過程すべてが「創発」の連続の歴史です。

●さてこの創発という現象を引き起こす原動力は、そのとき存在する要素間の相互作用なのです。
●そしてこの創発を引き起こすためには、要素間の単なる接触(足し算的な接触)ではなくて、掛け算的な接触・交流の累積が必須なのです。2+2と2×2はいずれも4ですが、3+3は6なのに3×3は9です。そして10+10は20なのに、10×10は100となり、桁が異なってきます。この掛け算の累積による桁違いの出現が創発という現象を誘発するのです。

●この原理で人間の歴史の不可思議も理解できるように思われます。たとえば幕末当時の現実から見れば不可能に思えるような倒幕運動が結局成功したのも、掛け算的交流の累積による創発によって説明できるように思われます。
●ただし創発は、その過程に存在する要素の掛け算的交流の具体的パターンが的確であり、そしてその交流の累積が十分でなければ出現しないようです。仕事人生時代の自分を振り返ってみると、体験してきたいくつかの成功・失敗が何故そうだったのかが納得できました。こうした学問は次代の人々に大いに学んでほしいと思います