ふたたび日経シニア記者がつくる心のページから

 2月21日の夕刊記事、88歳の俳人金子兜太さんに聞く」をきり抜きました。

●酒止めようかどの本能と遊ぼうか・・・60歳で痛風になったときの句
 「欲を捨てるのはむしろ危険と考えたんだ。痛風で酒と肉食を断たなければならなかったが、家では赤ワイングラス半分、外では焼酎1杯だけ飲むようにした。牛肉の代わりに
鶏と魚。ゆるーい縛り方にし、ほかの本能と遊ぶようにしたら七十歳で健康を回復した」
●雑煮食ぶ歴年齢は虚なり・・・
 歴年齢はウソ、肉体年齢が本当と言う句。力強い立ち居振る舞いの源には兜太式の立禅があった(立ったまま意識を集中し友人・知人の死者の名前を読み上げ、忘れたらぼけるぞと気力を出し、すーっとしてきたところで深呼吸する)。
 「生きるには命を鼓舞する気が大切で、宇宙にあるそれをつかみたい。この歳になると気力がないとたちまち滅入る」
(原体験はトラック島での戦争体験)。

 常識的な老後の姿と異なる金子さんの姿勢に大きな示唆をいただきました。