考え方の癖を変えることで心が平安になれる

心安らかに充実して生きるための学びを毎週1回岡野塾で学んでおります。
1年前に学んだ同じテーマを新たに学び直し始めていますが、昨年学んだときには頭に残らなかった先生の言葉の内容が、今回は翌日の複習によって鮮明に印象に残ることを体験しています。
禅語に「日日是好日」という言葉があります。人生晴れの日ばかりではありません。風雨の強い日や嵐の日が来るのも避けられません。禅語の狙いは、そういう日でも是好日という心境で心安らかに過ごせる心境を持てるよう修行しなさいというように理解できます。
生きる中で風雨の強い日や嵐の日に似た局面では、どうしても暗い気分、否定的な感情が起こります。例えば以下のような感情です。
・将来の脅威に対する心配と不安
・大切なものを失ったときに起こる悲しみあるいは残念とうつ
・何か思い通りにならないことに対する不快感と激しい怒り
・悪いことをしたときに起こる自責の念と罪悪感
・期待が裏切られたときの失望と傷つき(やがては恨み)
・人前で失敗した時の悔しさと屈辱感
上述の否定的な感情は、健全な感情と不健全な感情に区別できます。例えば心配や悲しみ、不快感や失望、悔しさは健康な否定的感情であり、不安やうつ、激しい怒りや罪悪感、傷つきは不健全な否定的感情です。
風雨の強い日や嵐の日に似た局面では否定的な感情が起こることは避けられませんが、不健全な否定的感情に浸ってしまったら不幸な人生の始まりとなります。
心理療法の一つの学説(論理療法)によれば、好ましくない出来事に直面した場合、人は長年身についている無意識的な考え方で対応する結果として、往々にして不健全な否定的な感情が発生します。
その無意識的な考え方の癖を発見して、その癖を変化させれば、不健全な否定的感情を健全な否定的な感情に緩和することができ、早期に立ち直ることが出来ます。(但し例えば死に至る病に侵されるような局面でも好日と言える心境になるためには、こうした論理療法では実現不可能であり、仏教のような宗教の力を借りなければなりません)。
論理療法によれば、人が風雨の強い局面に直面したときに否定的な感情を引き起こす考え方の癖は、次の3種類です。
イ自分に対する4つの考え方・・・ねばならないという硬直した考え方、非論理的な考え方、社会一般の現実に沿わない考え方、自分の人生に役立たない考え方です。
例えば、「愛がないと生きられない」と言う言葉がありますが、愛が「なければならない」と思いこんでいる人は、いじめや不遇に耐えられなくなりますが、愛されたり好かれたりすることは「あったほうがよい」が、無くても死にはしないと考えている人は、いじめや不遇への耐性力が強くなります。
ロ他人に対する4つの考え方・・・ねばならないという硬直した考え方、非論理的な考え方、社会一般の現実に沿わない考え方、自分の人生に役立たない考え方です。
例えば、妻夫ならば「〜すべきだ」なのにあなたはしてくれない。だからあなたは悪い伴侶だと非難する人がおりますが、「できるだけやさしくしてほしい」が、相手は神様ではなくもともと不完全な人間なので出来ないこともあると考えている人のほうが、夫婦円満を維持する確率が高くなります。
ハ世間に対する4つの考え方・・・ねばならないという硬直した考え方、非論理的な考え方、社会一般の現実に沿わない考え方、自分の人生に役立たない考え方です。
例えば、人間は生まれてきたら幸福になる「権利がある」と考えている人は人生の不条理感に苦しみます。こうした考えは願望と必然をとり違えており、社会一般の現実に沿わない非理性的な思い込みです。
以上のような考え方の癖を発見して、自分で論破することができれば(ある程度長い日々のトレーニングが必要ですが)、日常的なストレスならば十分に克服でき、平安な人生を送ることができそうです。(但し実存的な悩みから発生するようなストレスの場合は、宗教的な修行なり信仰が必要になります)。